2021 年 57 巻 2 号 p. 301-308
【目的】早産期前期破水(PPROM)における抗菌薬投与前後の羊水中細菌のABPC低感受性菌の検出頻度と菌種および抗菌薬投与開始から出現までの期間を明らかにすること.【方法】PPROM(妊娠22-36週)診断時に羊水培養陽性であった抗菌薬投与前群(23例29菌株)とABPC+AMPC+CAM(AZM)投与後に羊水細菌培養が陽性化した抗菌薬投与後群(8例11菌株)を検討した.マイコプラズマ科は除いた.【結果】ABPC低感受性菌は,抗菌薬投与前群でグラム陰性桿菌3例,真菌2例,MRSA1例を認め6/25菌株(24%),抗菌薬投与後群では10/11菌株(91%)に認め,抗菌薬投与1日目より出現していた.【結論】PPROMにおいて発症時のABPC投与はグラム陰性桿菌・真菌・マイコプラズマ科以外の菌株に有効と思われるが,抗菌薬投与後に新たに出現した菌株は,早期でもABPC低感受性の可能性が高い.