2021 年 57 巻 2 号 p. 381-384
脊髄クモ膜下麻酔後の頭蓋内急性硬膜下血腫の発症率は50万〜100万分の1と非常に稀であるが,重篤な神経症状・後遺症を起こし得る合併症である.頭蓋内急性硬膜下血腫の発生機序は硬膜穿刺後頭痛と同様に,穿刺孔から脳脊髄液が漏出することが原因と考えられており,症状の類似点も多く両者の鑑別が困難である.今回我々は,双胎妊娠に対して,脊髄クモ膜下麻酔で選択的帝王切開術を行った術後2日目に頭痛を訴え,頭部単純CT検査で頭蓋内急性硬膜下血腫と診断した1例を経験した.脊椎麻酔後には稀ではあるが重篤な合併症として頭蓋内急性硬膜下血腫を念頭に置き診療にあたる必要がある.