日本周産期・新生児医学会雑誌
Online ISSN : 2435-4996
Print ISSN : 1348-964X
原著
妊娠中期までの体重増加量と妊娠糖尿病発症の関連
勘澤 晴美坂井 昌人
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2021 年 57 巻 3 号 p. 422-427

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抄録

 日本人は欧米人に比べ妊娠糖尿病を発症しやすい人種であるが,発症予防の管理指針はなく体重増加量と発症の関連性についても議論が分かれている.近年のメタ分析でGDMスクリーニング前までの過剰な体重増加を避けることでGDMのリスクを下げる可能性が示唆されたことから,本研究は妊娠中期のGDMスクリーニング前までの体重増加量とGDM発症の関連性を明らかにし,発症予防の可能性について日本人妊婦を対象に後方視的に検討を行った.

 妊娠中期までの体重増加量がGDM発症の影響因子になるのは非妊娠時BMI普通群の妊娠20週までの体重増加量であり(GDM発症オッズ比[OR]1.1, 95%CI:1.01-1.29),非妊娠時BMI肥満群,痩せ群では影響因子にならなかった.非妊娠時BMI普通群の妊娠20週まで体重増加量が3.8kg以上だとGDM発症ORは1.92(95%CI 1.01-3.65)であった.また妊娠初期HbA1c5.6%以上ではGDM発症ORは非妊娠時BMI普通群でOR2.5(95% CI:1.24-4.91),非妊娠時BMIが肥満群だとOR6.9(95% CI 2.0-23.92)であった.

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© 2021 日本周産期・新生児医学会
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