日本周産期・新生児医学会雑誌
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新生児・乳児の嚢胞性肺疾患
臼井 規朗
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2021 年 57 巻 3 号 p. 409-421

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抄録

 小児の嚢胞性肺疾患の分類には,いまだ確立されたものがないが,本稿の総論では,冒頭で最近の新しい考え方に基づいたわが国の小児嚢胞性肺疾患の分類を詳述する.近年は多数の先天性嚢胞性肺疾患が出生前診断されるようになったことから,周産期・新生児領域に関連した医療者の理解を深めるため,先天性嚢胞性肺疾患の出生前診断や重症度予測についても解説を加える.出生後,新生児や乳児に認められる嚢胞性肺疾患については,画像診断における特徴と,病態や臨床症状に加え,手術も含めた治療の要点について述べる.また,嚢胞性肺疾患に対する肺切除後には,いくつかの合併症が懸念されるため,晩期合併症や呼吸機能,悪性腫瘍との関連性について解説する.

 各論では,新生児や乳児に比較的多く認められる嚢胞性肺疾患として,先天性肺気道奇形(CPAM),気管支閉鎖症,肺分画症,気管支原性嚢胞,肺炎後肺嚢胞,遷延性間質性肺気腫,気腫性嚢胞・胸膜下嚢胞,胸膜肺芽腫を取り上げて概説する.また,嚢胞性肺疾患との鑑別を要する小児のびまん性肺嚢胞についても言及する.

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