日本周産期・新生児医学会雑誌
Online ISSN : 2435-4996
Print ISSN : 1348-964X
原著
初産婦における年齢階層別の妊娠分娩リスク 〜この10年で何が変わったか〜
佐々 真梨子笠井 靖代山田 学上田 江里子芥川 香奈津村 志穂井出 早苗細川 さつき有馬 香織渡邊 理子宮内 彰人
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2021 年 57 巻 3 号 p. 441-446

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抄録

 高年初産における年齢因子の関与を明らかにする目的で,当センターにおいて2016年から3年間に扱った分娩症例のうち,死産を除いた単胎の初産婦4,830例を対象に,生殖補助医療の有無,産科合併症,分娩様式,新生児予後等について25-29歳の初産婦を対照として年齢階層別に解析した.また,これらの評価項目について2007年から2010年までの分娩症例を対照として同様に解析した.

 年齢階層が上がると,ART妊娠,妊娠糖尿病,妊娠高血圧症候群,前置胎盤,帝王切開率は有意に増加したが,新生児予後については変化を認めなかった.10年前と比較すると,各年齢群でART妊娠,妊娠高血圧症候群,妊娠糖尿病については増加傾向を示したが,帝王切開率と新生児予後については大きな変化を認めなかった.

 高年齢化に伴う母体の産科リスクは高まっているが,現時点では新生児予後を増悪させることなく周産期管理が維持できている.

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© 2021 日本周産期・新生児医学会
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