日本周産期・新生児医学会雑誌
Online ISSN : 2435-4996
Print ISSN : 1348-964X
原著
高次医療機関における母体血を用いた出生前遺伝学的検査導入前後での羊水染色体検査状況の検討
橋本 佑樹村松 友佳子伊藤 美春齊藤 明子佐藤 義朗牛田 貴文小谷 友美早川 昌弘
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2021 年 57 巻 3 号 p. 452-456

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抄録

 目的:母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)が,当院における羊水染色体検査に関する臨床因子に与えた影響を検討すること.

 方法:2010年4月〜2020年3月に実施された羊水染色体検査332例とNIPT192例を対象に検査数の推移を検討した.羊水染色体検査を2010年4月〜2013年3月に実施した148例と2017年4月〜2020年3月に実施した67例で臨床因子の変化について検討した.

 結果:羊水染色体検査件数はNIPT開始後に減少し,NIPT件数は2017年の導入以後増加した.NIPT導入後,35歳以上の高年妊娠の割合が低下した.検査理由では,高年妊娠の割合が減少し,NT肥厚以外の超音波異常が有意に増加した.染色体異常は,NIPT導入後に検出率が上昇した.

 結論:当院のような高次医療機関においても,NIPT導入が羊水染色体検査の臨床因子に影響を与えたことが示唆された.

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