日本周産期・新生児医学会雑誌
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症例報告
生後のチアノーゼに対して過剰な医療介入を受けた異常ヘモグロビン症(Hb F-M-Osaka)の一例
佐藤 良滉星野 雄介新井 順一雪竹 義也梶川 大悟鎌倉 妙淵野 玲奈
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2021 年 57 巻 3 号 p. 520-524

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抄録

 異常ヘモグロビン症(異常Hb症)はチアノーゼを呈するため,過剰な医療介入を受けることがある.我々は生後に過剰な医療介入を受けた異常Hb症(Hb F-M-Osaka)の一例を経験した.症例は在胎39週6日,出生体重3,104gの男児.自然分娩で出生し,全身性チアノーゼのために入院し,人工呼吸管理やプロスタグランジンE1製剤の投与を受けた.入院後の病歴聴取で異常Hb症の家族歴が判明し,遺伝子検査で異常Hb症(Hb F-M-Osaka)と診断した.異常Hb症は稀な疾患であるため医療従事者が遭遇する機会は少なく,また無症状であることが多いため病識をもたれにくい.そのため診断はしばしば困難である.医療従事者の疾患についての理解と家族への十分な説明が,過剰な医療介入を避けるために重要である.

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