日本周産期・新生児医学会雑誌
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症例報告
尿ステロイドプロファイルと3DCTで出生前に診断したチトクロームP450オキシドレダクターゼ異常症
小幡 美由紀堤 誠司仙道 可菜子渡邉 憲和青木 倉揚若林 崇佐々木 綾子永瀬 智
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2021 年 57 巻 3 号 p. 556-560

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抄録

 チトクロームP450オキシドレダクターゼ(POR)異常症は,POR依存性酵素の活性低下による多彩な症状を示す.POR異常症を3DCTと母体の尿ステロイドプロファイルを用いて出生前に診断したので報告する.症例は32歳.妊娠20週頃から鼻翼や口唇の肥大,手足の増大を自覚していた.妊娠30週に胎児の陰核肥大を認めた.母体の末端肥大症が疑われたが,成長ホルモンの上昇や下垂体腺腫は認めなかった.血中エストロゲン値が妊婦としては低値で,血中テストステロン値は上昇しており,胎児のアロマターゼ欠損症やPOR異常症が疑われた.母体の尿ステロイドプロファイルではステロイド中間産物の代謝物の排泄が増加し,胎児3DCTで上腕骨と橈骨の癒合を認め,POR異常症と診断した.母体の尿ステロイドプロファイルと胎児3DCTの併用は,胎児超音波検査による形態異常所見が目立たない中等症のPOR異常症の出生前診断に有用であった.

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© 2021 日本周産期・新生児医学会
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