2022 年 57 巻 4 号 p. 606-609
はじめに
ヒトのCMVはヒトにしか感染しない.健常人が感染してもほとんどが不顕性感染となるが,CMV感染において特に問題となるのが,先天性CMV感染の発生である.先天性CMV感染症は,先天性ウイルス感染のうちで最も頻度が高く,その発生頻度は0.3%〜2.3%(日本においては0.3%)である.胎内感染の発生率は,抗体保有状況が10%上がるごとに0.26%上昇することが報告されている1).感染児に精神発達遅滞,運動障害,難聴をきたすことがあり,先天性CMV感染症は放置できない重要な課題である.