日本周産期・新生児医学会雑誌
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SARS-CoV-2と周産期医療 妊婦のコロナ感染症について
中井 章人
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2022 年 58 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

 はじめに

 2020年1月28日,国内で複数のSARS-CoV-2陽性者が発生したことを受け,厚生労働省では指定感染症と定め,厚生労働大臣を本部長に「新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する厚生労働省対策推進本部」(厚労省対策推進本部)を立ち上げ,省内全部局横断的な対応を開始した.

 一方,政府でも1月30日,内閣総理大臣を本部長に内閣官房に新型コロナウイルス感染対策本部(内閣官房対策本部)を置くことを閣議決定し,国民の命と健康を守ることを最優先に必要な対策,措置の取り纏めに入った.

 以後,内閣官房対策本部と厚労省対策推進本部の指示を受け,各都道府県では感染拡大の防止に取り組むことになる.病床確保や患者搬送調整に加え,帰国者・接触者相談センター,一般的な相談窓口,PCRセンター設置など多岐にわたる対応が求められた.

 現時点において,この新興感染症は終息をみることなく継続している.本稿が公表される頃には,また,新たなステージに入り,行政や医療現場の対応も変化している可能性もある.そこで,本稿では妊婦の位置付けと特徴を解説し,現時点までに産婦人科領域で行ってきた様々な対応を時系列に沿って再現し,記録として残すことにする.

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