日本周産期・新生児医学会雑誌
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症例報告
乳房からの母子感染による表在型新生児ヘルペスの1例
栁下 康博松岡 雄一郎小林 智恵長谷川 典子
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2022 年 58 巻 1 号 p. 185-189

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抄録

 症例は在胎39週,体重2,928g,経腟分娩で出生した女児.日齢1に直接授乳が開始され,日齢16から母の乳頭,乳輪周囲に水疱,児の口唇に丘疹が出現した.日齢23に口唇の丘疹は水疱へ変化し哺乳不良と体重減少を認めた.臨床経過より乳房からの単純ヘルペスウイルス(HSV)感染と考え2週間のアシクロビル(ACV)経静脈投与を行い,児の症状は改善,神経学的後遺症なく経過した.児の口唇病変のHSVに対するPCR検査が陽性であり,母の乳房病変のHSV抗原検査が陽性であることから,乳房からの表在型新生児ヘルペスと診断した.6カ月間のACV抑制療法を行い,1歳5カ月時点で児の経過は良好である.本症例は母の乳房に病変が出現していたことを確認し早期診断ができた.授乳中の母と児にかかわる医療従事者は,母の外陰部や口唇所見だけでなく乳房所見にも注意することが大切である.

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© 2022 日本周産期・新生児医学会
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