日本周産期・新生児医学会雑誌
Online ISSN : 2435-4996
Print ISSN : 1348-964X
症例報告
妊娠中の潰瘍性大腸炎の再燃・増悪を契機に母体がサイトメガロウイルス感染症と診断された1例
山岡 結香阿部 結貴鈴木 優人永田 怜子橋本 友美菅野 俊幸藏本 吾郎本橋 卓中林 章水主川 純和田 雅樹田畑 務
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2022 年 58 巻 1 号 p. 181-184

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抄録

 妊娠中に母体がサイトメガロウイルス(CMV)に感染した場合,出生児の0.3%がCMV感染を発症し,精神運動発達遅滞,難聴をきたすことがある.また,潰瘍性大腸炎(UC)合併妊娠におけるCMV感染症の報告は非常に少ない.今回,妊娠中に合併症であるUCが増悪したことを契機に母体がCMV感染症と診断され,児が無症候性先天性CMV感染と診断された症例を経験したので報告する.症例は31歳,2妊1産,UC合併.妊娠28週頃よりUCの症状が再燃し,妊娠31週からメサラジン内服を開始した.CMV腸炎除外目的に施行した血液検査でCMV感染症と診断された.妊娠38週に経腟分娩で出生し,児は無症候性先天性CMV感染と診断された.日齢6からバルガンシクロビルを6週間投与し,尿中CMVは陰性化した.生後1年時点で精神運動発達は順調である.本症例では児は出生後速やかに先天性CMV感染症と診断し治療を行うことができた.

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© 2022 日本周産期・新生児医学会
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