2022 年 58 巻 1 号 p. 211-215
症例は選択的帝王切開で出生した女児.新生児一過性多呼吸に対し経鼻的持続陽圧呼吸療法(nCPAP)で加療中であったが離脱できず,日齢10での気管支ファイバー検査で舌根沈下に伴う咽頭虚脱と診断し,nCPAP継続中であった.日齢19に発熱,右耳下腺部の腫脹,発赤,熱感を認め急性化膿性耳下腺炎と診断した.抗菌薬投与を行い合併症なく治癒した.急性化膿性耳下腺炎は口腔内からステノン管を通じて耳下腺への上行感染が原因で生じる.新生児期での発症は稀で,nCPAP中に生じた例の報告はない.今回,nCPAP管理中に急性化膿性耳下腺炎を発症した一例を報告する.新生児期では発症頻度こそ少ないが,nCPAP管理を必要とする重症な舌根沈下による咽頭虚脱のような上気道閉塞を合併する新生児では,急性化膿性耳下腺炎の発症に注意を要することが示唆された.