2022 年 58 巻 1 号 p. 216-220
症例は在胎39週4日,出生体重2,679gで経腟分娩にて出生した男児である.自然妊娠による一絨毛膜二羊膜(MD)双胎であったが,妊娠14週で一児胎内死亡(IUFD)している.出生時に児の腹部に広範な皮膚欠損を認めたためNICUに入院管理となった.先天性皮膚欠損と診断し,患部にワセリン塗布とガーゼ保護による保存的治療を行った.日齢2に患部から黄色の浸出液が出現し,改善を認めなかったため日齢3にアクアセルAg®による保存的治療に変更した.その後浸出液は消失し,患部は上皮化したため日齢18に退院した.退院後1カ月で患部は完全に瘢痕化した.MD双胎の一児IUFDの場合,まれではあるが生存児に本疾患を呈することがあり注意を要すると思われた.また,本症例では湿潤環境を保持し,抗菌作用を有するアクアセルAg®が奏効した.