日本周産期・新生児医学会雑誌
Online ISSN : 2435-4996
Print ISSN : 1348-964X
原著
在胎37週,38週の早期正期産児(Early term児)の臨床的検討
藤中 義史松永 麻美高橋 恵瀬谷 恵小野山 陽祐岡田 真衣子高下 敦子大橋 祥子増永 健岩田 みさ子瀧川 逸朗
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 58 巻 1 号 p. 37-43

詳細
抄録

 在胎37,38週のEarly term児における母体患者背景,新生児期合併症,入院率について後方視的に検討した.2014年から2017年に当院で出生した正期産児(4,013例)のうち,多胎,先天異常等を除外したEary term児894例,Full term児1,695例を対象とした.結果は,Early term群で母体合併症,帝王切開(特に予定帝王切開)症例が多く,新生児期合併症は,単変量解析ではEarly term群に新生児仮死と低血糖(< 50mg/dL)が多かったが,多変量解析では低血糖のみ有意差がみられた.新生児科入院率および再入院率は“Early term”が独立したリスク因子であった.当院では予定帝王切開を主に38週台で行っているが緊急帝王切開増加リスクは許容範囲内であり(約8%),欧米の推奨するFull termよりもやや早めに設定することは妥当と考える.

著者関連情報
© 2022 日本周産期・新生児医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top