日本周産期・新生児医学会雑誌
Online ISSN : 2435-4996
Print ISSN : 1348-964X
原著
帝王切開時に子宮筋腫核出術を施行した25例の検討
多賀 悠希子川﨑 薫安田 枝里子川村 明緒山口 綾香佐藤 麻衣最上 晴太近藤 英治万代 昌紀
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2022 年 58 巻 1 号 p. 76-82

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抄録

 帝王切開時の子宮筋腫核出術の有用性と安全性を明らかにするために,帝王切開時に筋腫核出術を施行した25症例を4群(漿膜下+筋層内群,漿膜下群,筋層内群,頸部群)に分類し,核出筋腫の最大長径と個数,手術時間,出血量,術中輸血量,ヘモグロビン値変化量(手術前〜手術後最低値),手術後在院日数,合併症の有無を後方視的に検討した.頸部群では他群に比して手術時間,出血量,ヘモグロビン値変化量,自己血返血量が高値であり,手術後在院日数が長い傾向にあった.筋腫核出に伴う合併症については,妊娠13週にも筋腫核出を施行した症例を含め,重篤なものを認めなかった.適切な基準に基づいて手術症例を選び,手術前に自己血貯血をするなど十分な準備を行い,手術中に出血量を減らす工夫を行うことにより,帝王切開時の筋腫核出は安全に施行でき,良好な分娩後経過を得る可能性がある.

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© 2022 日本周産期・新生児医学会
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