日本周産期・新生児医学会雑誌
Online ISSN : 2435-4996
Print ISSN : 1348-964X
原著
新型コロナウイルス感染症流行前後のエジンバラ産後うつ病 質問票の変化についての後方視的検討
三宅 龍太成瀬 勝彦兵 純子岡本 美穂山中 彰一郎竹田 善紀市川 麻祐子赤坂 珠理晃
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2022 年 58 巻 1 号 p. 83-87

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抄録

 産後うつは発症率が10〜15%であるとされる.産褥1カ月健診でのスクリーニングツールとしてエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)などが用いられる.当院では,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行後に面会や分娩立会いを制限しており,妊婦の精神的負担となっている可能性がある.本研究では,COVID-19流行後に当院で分娩した妊婦を研究群,COVID-19流行前に分娩した妊婦を対照群として,産褥健診時のEPDS値を比較した.対照群は920名,研究群は720名であり,EPDSの平均値は対照群と研究群とでそれぞれ3.9±3.9,3.9±4.1であり有意差はなかった.EPDSが9点以上であった褥婦の精神的負担となっている要因にも有意差はなかった.EPDSに差がなかったのは,妊婦がCOVID-19流行の状況にうまく対応できた可能性や,当院の適切なメンタルサポートなどの影響が考えられる.

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© 2022 日本周産期・新生児医学会
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