日本周産期・新生児医学会雑誌
Online ISSN : 2435-4996
Print ISSN : 1348-964X
原著
帝王切開術における癒着防止剤セプラフィルム®の効果に関する検討:前方視的コホート研究
信正 智輝池田 真規子黄 彩実別宮 史子白神 碧松井 克憲高石 侑増田 望穂松尾 精記安堂 有希子佐藤 浩田口 奈緒廣瀬 雅哉
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2022 年 58 巻 2 号 p. 282-288

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抄録

 [目的]セプラフィルム®の帝王切開術における癒着防止効果を前方視的に検討した.

 [方法]初回帝王切開術を当科で施行し,今回2回目の帝王切開術を予定している症例を対象とした.臨床背景,癒着の程度,および母児の転帰をセプラフィルム®使用群と非使用群で比較検討した.

 [結果]初回,2回目とも当科で帝王切開術を施行した136例から,初回帝王切開術を妊娠32週未満に実施した14例と今回の帝王切開術で術中の癒着評価記録が行われなかった4例を除く118例を解析対象とした.解析対象の118例を初回帝王切開術時セプラフィルム®使用群(46例)と非使用群(72例)で比較検討した.セプラフィルム®使用群で大網-腹壁間,あるいは子宮-大網間に2度以上の癒着を有するものは有意に少なかった.執刀-児娩出時間,総手術時間,術中出血量,臍帯動脈血pHに差は認めなかった.

 [結論]セプラフィルム®による大網が関連する中等度以上の癒着を抑制する効果を認めたが,母児の臨床転帰に差は認めなかった.

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© 2022 日本周産期・新生児医学会
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