日本周産期・新生児医学会雑誌
Online ISSN : 2435-4996
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症例報告
中心核ミオパチーの児出産を契機に発見された1型リアノジン受容体(RYR1)遺伝子の病的バリアントを有する妊婦の一例
古来 愛香石岡 伸一真里谷 奨藤部 佑哉坂井 拓朗染谷 真行齊藤 豪
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2023 年 59 巻 1 号 p. 111-115

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抄録

 1型リアノジン受容体(RYR1)をコードする遺伝子の病的バリアントは,いくつかの先天性ミオパチーの発症に関連している.今回,未診断だったRYR1遺伝子の病的バリアントを有する妊婦の2回の妊娠出産を経験したので報告する.症例:29歳G1P0. 既往歴なし.当科外来で妊婦健診を行っていたが,妊娠37週で羊水過多傾向,胎動自覚低下を認め,妊娠38週より分娩誘発を開始した.誘発中に胎児遷延徐脈を認め,緊急帝王切開となった.児は2,596gの男児,Apgar score 2/4(1分/5分)で出生し,floppy infantにて人工呼吸管理となった.その後中心核ミオパチーと判明し,母児にRYR1の病的バリアントがヘテロ接合で認められた.2年後に再び妊娠したが妊娠経過で異常は認めず,妊娠38週で選択的帝王切開となった.児は2,588g,女児,Apgar score 8/9(1分/5分)で出生し筋緊張正常であった.非常に稀だが,母体未診断であったRYR1の病的バリアントを有する症例と考えられた.

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© 2023 日本周産期・新生児医学会
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