2023 年 59 巻 1 号 p. 116-121
肺リンパ管拡張症(Pulmonary lymphangiectasia;PL)は肺リンパ管拡張を特徴とし,肺胞拡張障害をきたして重篤な呼吸不全を起こす疾患である.今回,ウレアプラズマ肺炎を契機に呼吸状態が増悪し,剖検でPLと診断された症例を報告する.
症例は超低出生体重児(在胎23週2日,610g,男児).母体は,妊娠23週1日に胎胞形成,23週2日に経腟分娩となった.児はサーファクタント投与後,安定化した状態で人工呼吸管理を行っていた.日齢15にCRP上昇と肺野の透過性低下が認められた.各種抗菌薬治療では改善なく,日齢30の気管内分泌物ウレアプラズマ培養陽性により,アジスロマイシン水和物を開始した.CRPは著減したが,呼吸不全は悪化して日齢44に死亡した.病理解剖では,肺リンパ管がびまん性に拡張したPLと診断した.臨床的にはウレアプラズマ肺炎を契機に顕在化したPLと考えられた.