日本周産期・新生児医学会雑誌
Online ISSN : 2435-4996
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症例報告
ウレアプラズマ肺炎を契機に顕在化した超早産児肺リンパ管拡張症の一例
榊原 康平山田 直史児玉 由紀小畑 静都築 康恵村岡 純輔青木 良則山下 理絵中目 和彦金子 政時桂木 真司都築 諒佐藤 勇一郎
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2023 年 59 巻 1 号 p. 116-121

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抄録

 肺リンパ管拡張症(Pulmonary lymphangiectasia;PL)は肺リンパ管拡張を特徴とし,肺胞拡張障害をきたして重篤な呼吸不全を起こす疾患である.今回,ウレアプラズマ肺炎を契機に呼吸状態が増悪し,剖検でPLと診断された症例を報告する.

 症例は超低出生体重児(在胎23週2日,610g,男児).母体は,妊娠23週1日に胎胞形成,23週2日に経腟分娩となった.児はサーファクタント投与後,安定化した状態で人工呼吸管理を行っていた.日齢15にCRP上昇と肺野の透過性低下が認められた.各種抗菌薬治療では改善なく,日齢30の気管内分泌物ウレアプラズマ培養陽性により,アジスロマイシン水和物を開始した.CRPは著減したが,呼吸不全は悪化して日齢44に死亡した.病理解剖では,肺リンパ管がびまん性に拡張したPLと診断した.臨床的にはウレアプラズマ肺炎を契機に顕在化したPLと考えられた.

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© 2023 日本周産期・新生児医学会
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