日本周産期・新生児医学会雑誌
Online ISSN : 2435-4996
Print ISSN : 1348-964X
症例報告
妊娠前経腹的子宮頸管縫縮術(TAC)の実際と展望 〜地方病院での経験を踏まえて〜
金 美善石岡 伸一倉 ありさ山下 真祐子根岸 秀明齋藤 豪
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 59 巻 1 号 p. 93-97

詳細
抄録

 経腟的子宮頸管縫縮が不可能な高度子宮頸管短縮症例に対して,近年いくつかの施設において経腹的子宮頸管縫縮術(Transabdominal cerclage;以下TAC)が積極的に行われ良好な妊娠予後が報告されている1)

 しかし本術式は保険未収載かつ一般的な治療ではなく,術式の確立のためには症例を集約化する必要があり,地理的な問題から断念せざるをえない場合もある.今回TAC施行施設で研修を積んだ医師の下,地方周産期センターにて妊娠前TACを施行し術後分娩までの管理を行った.二度の子宮頸部円錐切除既往があり早産既往のある女性に対し妊娠前TACを施行し,術後5カ月にて自然妊娠が成立.切迫早産のため妊娠中期より入院管理を行った.子宮頸管長の短縮なく妊娠36週5日に帝王切開術にて分娩した.TAC前後の妊娠経過を比較しTACの有用性について検討するとともに今後の展望を踏まえて報告する.

著者関連情報
© 2023 日本周産期・新生児医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top