2023 年 59 巻 2 号 p. 181-186
新型コロナウイルス(COVID-19)の第6波・第7波における当院の母児症例を後方視的に調査し,感染対策の現状と課題を検討した.調査期間中に44例が対象となり,妊婦の重症度は軽症が36例(81.8%),無症状が8例(18.2%)で,原則帝王切開で分娩した.新生児の母子感染症例を認めなかったが,17例(37.8%)で呼吸障害を認め,High flow nasal cannulaや保育器内酸素の治療を要し,治療期間の中央値は2日であった.児の入院中に母乳栄養を開始できたのは37例(82.2%)で,母の隔離解除後に20例(44.4%)が育児指導の母子入院を行った.母子感染と新生児の合併症の予防,育児支援のためにさらなる研究が必要である.