2023 年 59 巻 2 号 p. 174-180
超低出生体重(ELBW)児は,その免疫未熟性に加えて,長期間の人工呼吸管理や中心静脈カテーテル留置を背景に遅発型敗血症(LOS)の発症リスクが高い.本研究では,2017年1月から2022年12月までに当センターで管理したELBW児におけるLOSの発症頻度を調査するとともに,LOS症例の特徴を解析した.ELBW児149例のうち,LOSを呈したのは8例(5.4%)であり,LOSによる死亡例はなかった.在胎週数は22週が4例で,6例が合併症もしくは基礎疾患を有し,3例が腸瘻を造設されていた.起因菌は全例がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌以外のブドウ球菌属であり,発症日齢の中央値(範囲)は22(7-45)日で,人工呼吸管理,中心静脈カテーテルを継続使用するなかでの発症であった.ELBW児におけるLOSの早期発見には,個々の症例のリスクを勘案しながら必要に応じたモニタリングを行うことが重要と考えられた.