日本周産期・新生児医学会雑誌
Online ISSN : 2435-4996
Print ISSN : 1348-964X
原著
超低出生体重児の遅発型敗血症の発症頻度とその特徴 ─三次周産期医療センターにおける検討
小林 孝生岩谷 壮太泉 絢子生田 寿彦武岡 恵美子松井 紗智子玉置 祥子三村 仁美芳本 誠司
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2023 年 59 巻 2 号 p. 174-180

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抄録

 超低出生体重(ELBW)児は,その免疫未熟性に加えて,長期間の人工呼吸管理や中心静脈カテーテル留置を背景に遅発型敗血症(LOS)の発症リスクが高い.本研究では,2017年1月から2022年12月までに当センターで管理したELBW児におけるLOSの発症頻度を調査するとともに,LOS症例の特徴を解析した.ELBW児149例のうち,LOSを呈したのは8例(5.4%)であり,LOSによる死亡例はなかった.在胎週数は22週が4例で,6例が合併症もしくは基礎疾患を有し,3例が腸瘻を造設されていた.起因菌は全例がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌以外のブドウ球菌属であり,発症日齢の中央値(範囲)は22(7-45)日で,人工呼吸管理,中心静脈カテーテルを継続使用するなかでの発症であった.ELBW児におけるLOSの早期発見には,個々の症例のリスクを勘案しながら必要に応じたモニタリングを行うことが重要と考えられた.

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© 2023 日本周産期・新生児医学会
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