日本周産期・新生児医学会雑誌
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症例報告
子宮動脈塞栓術後に子宮内感染と広範囲な子宮壊死を生じ子宮全摘術を要した一例
根橋 ひかり長尾 健舟木 哲井上 桃子伊藤 由紀髙橋 健宮 美智子佐村 修岡本 愛光
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2023 年 59 巻 2 号 p. 277-281

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抄録

 分娩後異常出血(PPH)に対する子宮動脈塞栓術(UAE)では約1-2%に子宮壊死が生じる.37歳,1妊0産,二絨毛膜二羊膜双胎,妊娠33週で妊娠高血圧腎症に対し帝王切開術を施行した.PPHのためゼラチンスポンジを用いてUAEを施行した.UAE後に予防的にABPC/SBTを使用したが,発熱,下腹部痛,子宮腫大,悪臭を伴う悪露が持続し,子宮内感染症を疑いTAZ/PIPCの投与を開始した.症状の改善が乏しくIPM/CSに変更した.子宮壊死を疑い骨盤部造影MRI検査を行ったところ,子宮筋層の広範な壊死を認めた.UAE後26日目に敗血症が疑われ単純子宮全摘術を施行した.病理組織学的検査では子宮底部から全周性に内膜から筋層が壊死していた.抗菌薬加療を行うも,発熱,腹痛,子宮腫大,悪臭を伴う悪露の貯留等が遷延した場合,子宮壊死を疑い造影MRI検査を行うべきである.

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© 2023 日本周産期・新生児医学会
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