日本周産期・新生児医学会雑誌
Online ISSN : 2435-4996
Print ISSN : 1348-964X
症例報告
妊娠中の特発性持続性心室頻拍に対し,3Dマッピングシステムを活用し無透視下でアブレーションした一例
藤井 彩乃末光 徳匡三谷 尚弘門岡 みずほ水上 暁古澤 嘉明
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 60 巻 2 号 p. 292-297

詳細
抄録

 不整脈は妊娠中の心血管イベントで最も頻度が高く,妊娠に伴い増悪しやすい.よって妊娠前の治療介入が重要であり,妊娠中でも心室頻拍などの致死性不整脈や,症候性,薬剤抵抗性の場合は高い成功率と根治性のあるアブレーションが検討される.

 通常アブレーションは透視下で行われるため,妊婦では胎児放射線暴露の点で制限される.放射線を使用しない3Dマッピングシステム(3DMS)は,磁場や電流による位置情報の把握により不整脈の起源・回路を可視化できる装置だが,3DMSを使用した妊婦の心室頻拍に対する治療報告は限られる.

 本例では心室頻拍に対し妊娠前にアブレーションを行うも,妊娠を契機に再発し,妊娠35週で3DMSを用いた無透視下でのアブレーションを実施した.胎児放射線暴露を回避し合併症なく不整脈治療を完遂し,その後再発なく良好な分娩転帰となった.母児ともに侵襲が低く,有効な不整脈治療と考えられた.

著者関連情報
© 2024 日本周産期・新生児医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top