2024 年 60 巻 2 号 p. 317-322
VACTERL連合は椎体異常(V),鎖肛(A),心形態異常(C),気管食道瘻(TE),腎形態異常もしくは橈骨形成異常(R),ならびに四肢の異常(L)の頭文字を合わせた疾患名であり,これら多系統の形態異常を同時に認める.頻度は1-4万出生に1人とされ,診断は3項目以上の所見を認めるものとされる.他にも様々な形態異常を合併するが,中枢神経系の異常は稀である.今回,Chiari奇形2型を合併したVACTERL連合の2例を経験した.
症例は在胎38週と35週の女児で,2例とも胎内診断され,高度の椎体異常,鎖肛,腎形態異常,内反足に加えChiari奇形2型を合併していた.生後は脊髄髄膜瘤根治術,脳室腹腔シャント術施行,鎖肛に対し外科的介入を行った.
VACTERL連合の各形態異常は主に胎生3週頃より形成されるものであり,Chiari奇形2型の形成時期と類似している.今回,両疾患の関連に対する考察を含め報告する.