日本周産期・新生児医学会雑誌
Online ISSN : 2435-4996
Print ISSN : 1348-964X
原著
臨床的絨毛膜羊膜炎母体から出生した在胎35週以降の新生児に対する抗菌薬の必要性
天野 崚平日高 大介岡田 侑樹花木 麻衣中村 由里永藤 元道竹内 秀輔藤山 聡金井 雄小畠 真奈宮園 弥生高田 英俊
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2024 年 60 巻 3 号 p. 444-450

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抄録

 絨毛膜羊膜炎(chorioamnionitis, CAM)は新生児の感染症リスクを伴う.当院では2012年からAAP(American Academy of Pediatrics)の推奨を参考に,臨床的CAM(以下cCAM)と診断された母体から出生した全ての新生児に抗菌薬を投与してきた.しかし,無症状の新生児は早発型敗血症の発症リスクが低く抗菌薬は必要ないとする報告が増えている.そこで,2016年1月から2022年9月の間に,当院で出生した在胎35週以降かつ出生体重2,000g以上のcCAM母体児118例を調査し,有症状群と無症状群に分けて抗菌薬投与の必要性を後方視的に検討した.血液培養陽性症例は有症状群の1例だった.研究対象となった新生児の周産期情報を,2019年にAAPが報告したcCAM母体児の3つの管理方法に適用すると,2つの管理方法で無症状群の98%以上は抗菌薬が不要と評価された.

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© 2024 日本周産期・新生児医学会
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