日本小児外科学会雑誌
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先天性胆道拡張症における ERCP 施行症例の検討及び副膵管開存の意義
土岡 丘藤原 利男小川 富雄黒須 勇作福永 研木島 金夫町田 尚美池口 祥一信田 重光
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1993 年 29 巻 4 号 p. 801-809

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抄録
先天性胆道拡張症(CBD)において膵管胆道合流異常がその成因として重視されている. ERCP を施行した小児 CBD 27例に対し,拡張形態,合流形式,副膵管の開存および臨床症状について検討した.拡張形態に関しては CBD 27例中紡錘状拡張を呈したものが13例であり,肝機能障害が13例中10例(76.9%)に,高アミラーゼ血症が13例中7例(53.8%)に認められた.嚢腫状拡張を呈したもの14例では肝機能障害が14例中13例(93.9%)に,高アミラーゼ血症が14例中3例(21.4%)に認められた.合流形式に関しては,拡張形態が紡錘状拡張を呈したもの13例では胆管合流型が8例,膵管合流型が5例であった.嚢腫状拡張を呈したもの14例では全例が胆管合流型であった.胆管合流型では肝機能障害が22例中19例(86.4%)に,高アミラーゼ血症が22例中7例(31.8%)に認められた.一方,膵管合流型では肝機能障害が5例中4例(80.0%)に,高アミラーゼ血症が5例中3例(60.0%)に認められた.副膵管の開存は紡錘状拡張を呈したグループでは膵管合流型の1例(13例中1例, 7.7%)のみであったが,嚢腫状拡張を呈したグループ(全例が胆管合流型)では14例中7例(50%)に副膵管を認めた.膵炎の合併の少ない嚢腫状拡張では副膵管の開存が高率に認められ,一方紡錘状拡張ではその存在がきわめて少いことは, CBD において副膵管の開存はドレナージ・システムとして重要なばかりでなく, CBD の発生原因および胆道の拡張形態の発生のメカニズムにおいて何らかの関連性があると考えられた.
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© 1993 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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