日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
腹腔鏡が診断に有用であった小児外傷性膵破裂の1例
井上 匡美竹中 博昭角村 純一三木 康彰別所 俊哉大畑 俊裕横地 啓也野瀬 恵介永井 勲
著者情報
キーワード: 膵外傷, 腹腔鏡, 小児, Amylase
ジャーナル フリー

1993 年 29 巻 4 号 p. 845-848

詳細
抄録

小児の腹部鈍的外傷は患児の訴えが曖昧なためにその診断が難しいとされ,以前は試験開腹が行われることも多かった.しかし画像診断が進歩してきた近年,その手術適応はより厳格になってきていると思われる.膵外傷の場合,受傷直後は腹部所見に乏しくかつCT検査や超音波検査で膵の形態的変化がとらえられることは稀である.今回我々は,交通事故で腹部を打撲し腹痛を訴えて来院した3歳の男児に対し,全身麻酔下に試験的腹腔鏡を施行した.腹腔内に少量の腹水を認め,腹水中の Amylase 値を測定したところ,146,500IU/lと高値であったため膵外傷と診断し開腹手術を施行した.試験的腹腔鏡は開腹手術の適応の判断材料として意義深いものであり,小児に対しても全身麻酔下に安全に施行し得た.

著者関連情報
© 1993 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top