日本小児外科学会雑誌
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嚢腫内出血を来した大網リンパ管腫の1女児例
井上 勝裕長島 雅子山上 卓士柳原 潤岩井 直躬森岡 義仁
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1993 年 29 巻 5 号 p. 1034-1038

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抄録
大網リンパ管腫は比較的稀な疾患である.その多くは小児期,特に10歳未満に発見されているが,特異的な症状に乏しいためその診断には画像診断が有用である.患児は1歳10ヵ月女児で,微熱,腹痛,嘔吐に続き急激な腹部膨満,貧血の進行をきたした.腹部超音波検査および腹部CT検査にて薄い壁を持つ巨大な腹腔内嚢腫性病変の存在を診断した.貧血が高度かつ進行性だったため緊急に開腹術を施行したところ,大網内に血性の液を貯留した1.3kgの嚢胞を認め,これを摘出した.病理組織学的所見はリンパ管腫であった.本症の発生部位までを含めた正確な術前診断は困難であったが,嚢腫の診断には腹部超音波検査および腹部CT検査が有用であった.
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© 1993 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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