日本小児外科学会雑誌
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小児甲状腺癌の1例
大塚 康吉池田 英二梅森 君樹辻 尚志
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1994 年 30 巻 1 号 p. 126-131

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抄録
小児甲状腺癌の1例を経験したので,本邦小児甲状腺癌報告例の集計を加え報告する. 症例は2歳11ヵ月の男児で前頚部腫瘤を主訴とし入院. 甲状腺機能低下症を伴った甲状腺癌の診断で甲状腺亜全摘除術,保存的リンパ節廓清を行なった. 病理組織診断は甲状腺濾胞癌で,術後6年の現在健康である. 性別頻度は15歳以下では女 : 男 = 125 : 56,6歳以下では11 : 9と年齢が低い程男女差が少なくなっている. 年齢別頻度は15歳が38例で最も多く,年齢が低くなるにつれ頻度も低くなっている. 組線型別頻度は乳頭癌約70%,濾胞癌約20%と年齢による差は殆どない. 転移については乳頭癌の約20%に肺転移がみられ,濾胞癌より肺転移の率が高く,進行癌が多いにもかかわらず予後は良好である.
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© 1994 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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