日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
先天性横隔膜ヘルニア術後における患側肺の発育 : 第一報:胸部レ線写真と肺血流シンチグラムからみた検討
赤塚 寛長屋 昌宏安藤 久實加藤 純爾平岩 克正鈴木 英明
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 30 巻 4 号 p. 718-724

詳細
抄録

先天性横隔膜ヘルニア (以下本症) 術後の患側肺の発育について, 胸部レ線写真と肺血流シンチグラムより検討した. さらに, シンチグラムから得られた結果を胎児循環の持続 (以下 PFC) の発生との関連において検討した.〈対象及び方法〉過去8年間に経験した本症の中の26例を対象とした. これらの内訳は24時間以後に来院した症例 (0群) が7例で, 他の19例は24時間未満の症例であった. それらは私どもの重症度分類でI群(術前の AaDO_2が 500mmHg 未満の症例)が6例, II群 (術前の AaDO_2 が 500mmHg 以上で, 術直後に PaO_2 の上昇を認める症例) が5例, III群 (術前の AaDO_2 が 500mmHg 以上で, 術後も PaO_2 の上昇を認めない症例) が7例, およびIIあるいはIII群が1例であった. 検討方法は胸部レ線写真から患側肺が拡張するまでの期間を, 肺血流シンチグラムから患側肺の血管床の分布状況をそれぞれ O 群からIII群の4群に分け評価した. なお, シンチグラムの結果を定量化するために, 健側肺に対する患側肺の RI の集積比をもとめた. そして, 患側肺が右肺の場合には集積比に44/56を乗じ, 左肺の場合には56/44を乗じて修正し m-RI 比とした. 〈結果〉1. 胸部レ線写真上, 患側肺が拡張するまでの期間は, O 群では術直後, I群では1週間, II群では3週間から1ヵ月, III群では2ヵ月であった. 2. O群からIII群になるに従って m-RI 比は低値になる傾向があり, 臨床上の重症度を反映していた. 3. 24時間未満発症例の中で, PFC に陥らなかった症例の m-RI 比の平均は79.4 ± 23.5%(mean ± SD)に対し, PFC に陥った症例の m-RI 比は46.3 ± 15.4%であり, 両群間に有意差が認められた(p < 0.01).

著者関連情報
© 1994 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top