1994 年 30 巻 4 号 p. 732-737
患者は Down 症の女児で, 生後2ヵ月時体重増加不良と心不全症状のため心臓カテーテル検査を施行した. 完全型心内膜床欠損症 (complete-form ECD) を合併した大動脈縮窄複合 (CoAcomplex) の診断であった. 3ヵ月時に subclavian flap aortoplasty (SFA)法とpulmonary artery banding (PAB) を施行した. 12ヵ月時に体外循環下に心内修復術を施行した. 共通前尖は非分業で Rastelli type C で two patch 法により修復した. 左右の房室弁の逆流はほとんど認めなかったため, 房室弁の縫合は行わなかった. 術後経過は良好で complete-form ECD を伴った CoA complex に対する二期的手術は安全な一方法と考えられた.