日本小児外科学会雑誌
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OK-432の小児リンパ管腫に対する臨床第 III 相試験
荻田 修平角田 昭夫岡部 郁夫橋都 浩平
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1995 年 31 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

小児リンパ管腫に対する OK-432局注療法の有用性を明確にする事を目的に共同研究を行った. 0K-432(ピシバニール)溶液の濃度は別に施行した第 II 相試験の結果より0.5KE/10ml 生理食塩水 (A 群)と1.0KE/10ml 生理食塩水 (B 群)を用いた.腫瘤縮小率(有効率)は A 群 B 群共に,投与6ヶ月後の判定で80% 以上が有効と判定された.治療に伴う副作用では,A 群 B 群に差はなく,発熱,腫瘤の腫脹・発赤,白血球数増多, CRP 値の上昇等を高頻度に認めたが,特に重篤なものは認めなかった.ただし,頚部リンパ管腫では,腫瘤の腫脹のため気管を圧迫する可能性があるので,十分な注意が必要である.腫瘤縮小程度と安全性とから判断した OK-432療法の有用性は A 群 B 群共に,投与6ヶ月後の判定で70% 以上が有用と判定された.本治療は美容的にも優れた結果が得られ,従来の治療法に替わる有用な治療法になり得る事が示唆された.

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© 1995 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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