日本小児外科学会雑誌
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饒虫によると思われる小児急性虫垂炎の4例
大畠 雅之黒崎 伸子芦塚 修一富田 正雄
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キーワード: 饒虫症, 虫垂炎
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1995 年 31 巻 1 号 p. 47-50

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抄録

饒虫の主症状は雌虫の夜間肛門周囲に産卵することによる肛門部掻痒感,不眠,神経質等の精神症状が主であるが,回腸末端,盲腸,虫垂突起に寄生することによる急性虫垂炎症状が以前より報告されている.今回,饒虫によると思われる急性虫垂炎4例を経験したので,手術所見,病理所見について報告した.4例とも急性虫垂炎の診断で虫垂切除施行された.手術所見は,全例とも虫垂突起の炎症は軽度で腹腔内に中等量の透明な腹水を認めた.3例は切除された虫垂突起腔内に虫体を認めた.病理組織所見では,粘膜を主体とする炎症反応が主体で1例は虫垂炎症部に虫体の迷入を認めた.饒虫による腹部症状は時として急性虫垂炎との鑑別が困難が場合がある.病理所見では,粘膜中心の炎症反応で,開腹所見では,虫垂突起の炎症所見は軽度で,腹水の存在が特徴的であった.

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