抄録
腹部腫瘤を主訴に来院した9ヶ月女児に,歯状線下縁から恥骨直腸筋下縁付近までの限局性狭窄を認めた. この狭窄部分は大川らの主張する発生学的肛門管の特徴を有しており,肛門管狭窄と判断した. 肛門管狭窄は背側総排泄腔の発生異常が原因と考えられ,直腸狭窄とは別個の疾患であると考えている. また,この根治手術は容易ではなく,標準的な術式もない. われわれは自験例に対し,人工肛門造設後に腸管自動吻合器 (Autosuture Surgical Stapling Instrument-Model GIA : 以下 GIA) を用いた池田 Z 型吻合による根治術を行い良好な結果を得た.