抄録
近年,先天性胆道拡張症において術後晩期合併症としての吻合部狭窄,肝内結石症が問題となってきた. このため,根治術の際に吻合径を広くとる工夫が数多くなされている. 当科でも6例の肝内結石晩期発症例を経験したため, 1988年以降は肝内胆管形態によって肝門部胆管に形成を加えて吻合を行うようにしている. 最近7年間の41例の検討では,何らかの形成術を必要としたのは13例であった. 必ずしも全例で肝門部を深く切り上げた吻合を用いる必要はないと思われた. 左肝管起始部に見られる狭窄は全例が模様狭窄であり,肝門部から切除可能であった. だが,より完全な流出路確保のためには左肝管の切り上げ操作も考慮すべきと思われた. 左右肝管合流部分の形態には様々な亜型があり,肝門部を形成する際には術中遺影を参考に,充分これを考慮して不要な損傷を避けねばならない.