日本小児外科学会雑誌
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いわゆる amniotic band syndrome の1例と発生論的考察
北谷 秀樹河野 美幸梶本 照穂
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1995 年 31 巻 7 号 p. 1028-1032

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抄録
Amniotic band syndrome (短臍帯, 脊柱側弯を伴う臍帯ヘルニア) の一例を報告し, 発生学的な考察を加えた. 症例は生険0日女児で, 在胎31週, 早期破水となり帝王切開にて出生. 出生体重は1195gで, 臍帯は約10cm と極めて短かった. 内臓脱出があり脱出臓器は胃から S 状結腸に至る腹腔内消化管全部と肝脾であった. 臓器は嚢には覆われていなかったが, 破裂部の左半周には臍帯様の組織も見られ, 臍帯ヘルニアの嚢が早期に破裂したものと考えられた. 肝は3分葉で副脾も存在した. 高度の側弯があり, 四肢では左足の内反足が存在した. 腹腔はほとんど形成されていなかったため Allen-Wrenn 法で修復したが, 生後2日で失った. この症例においては, 臍帯が短いことが, 臍帯の異常や脊柱の変形, 肝脾の異常を発生させる原因と思われる. ABS の多くは致死的ではあるが治療方針の決定は個々の重症度に応じてなされるべきである.
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© 1995 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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