日本小児外科学会雑誌
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鼠径部の浮腫を契機に発見された骨盤部神経芽腫の1例
飯沼 泰史新田 幸壽岩渕 眞内山 昌則松田 由紀夫内藤 万砂文小田 良彦佐藤 雅久渡辺 徹
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キーワード: 骨盤部神経芽腫, 浮腫
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1995 年 31 巻 7 号 p. 1023-1027

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抄録

骨盤部原発の神経芽腫 (以下 NB) は比較的まれであるが, 今回我々は陰嚢および左下肢の浮腫で発見された, 生後1ヵ月の骨盤部 NB の1例を経験したので報告する. 症例は1ヵ月の男児. 急速に進行した陰嚢および左下肢の浮腫と貧血を契機に, 骨盤腔内 NB (Stage II) を発見された. 術中所見では, 主要は仙骨正中から左閉鎖孔付近の後腹膜から発生し, 内外腸骨動静脈が腫瘍により極度に圧排されていた. このため浮腫は腫瘍による静脈還流障害が原因と考えられた. 患児は術後化学療法として2/3量で James 療法を施行し経過観察中である. 一般に骨盤内 NB は病初期の臨床症状に乏しく, 早期に腹部腫瘤として発見することは困難で, 時に直腸膀胱障害を伴って発症することが知られている. しかし今回調べ得た限りでは, 本症例のような浮腫を初発症状とした報告は見あたらず, 興味ある症例と考えられた.

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© 1995 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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