抄録
間歇的高カロリー輸液および持続的高カロリー輸液施行時における肝マイクロフィラメントの変化をその構成成分であるアクチンおよびミオシンの免疫組織化学的染色を行い,その染色性の変化より比較検討した. 動物実験は5週齢雄性 SD 系ラットを用い1週間の高カロリー輸液を行った. 持続的高カロリー輸液群では肝細胞辺縁のアクチンおよびミオシンの染色性は低下していた. これに対して間歇的高カロリー輸液群では輸液終了時においてもアクチンおよびミオシンの染色性の変化はわずかであった. さらに間歇的高カロリー輸液群ではその染色性は,次回投与開始時にはほぼ改善していた. すなわち肝マイクロフィラメントの変性は間歇的高カロリー輸液においては持続的高カロリー輸液に比べ軽度であり,その変性が胆汁うっ滞の一因となっている可能性が形態学的に支持する所見が得られた.