日本小児外科学会雑誌
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小児胆道拡張症術後の遺残胆管
宮内 勝敏高橋 広木村 茂水上 祐治
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1996 年 32 巻 2 号 p. 239-243

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抄録

小児胆道拡張症術後の遺残胆管について検討した.対象は当科で経験した小児胆道拡張症23例のうち,術後 ERCP を施行した9例である.遺残胆管を認めたのは,このうち5例であった.この5例の初回手術時の胆這拡張形態は嚢腫状3例,紡錘状2例であり,膵管胆道合流形式は全例が膵管が胆道に合流する型だった.胆道拡張症術後の症状としては腹痛を4例に認めていたが,1例は無症状であった、遺残胆管の大きさは最大で25×10mmであった. 遺残胆管内に膵石を認めたのが1例あり,内視鏡的乳頭切開術ののち採石した.腹痛などの症状がないにもかかわらず, 20×1Ommの遺残胆管を認めた症例もあった.初回手術時,膵実質内の膵内胆管の丹念な剥離を施行した後にも,術後の ERCP で遺残胆管を認めることがあり,特に合流異常形式か P-C 型のものは遺残胆管を認めやすかった.したがって,術後腹痛など症状を有する症例には, ERCP を施行し遺残胆管および膵石などの合併症について評価する必要がある.

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© 1996 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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