日本小児外科学会雑誌
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肝切除を行った肝血管内皮腫の2例
村上 淳鈴木 則夫高橋 篤黒岩 実池田 均松山 四郎畠山 信逸櫻井 美奈子小泉 武宣森下 靖雄
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1997 年 33 巻 4 号 p. 729-734

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抄録

小児肝血管腫は比較的まれな疾患で組織学的に本来良性ではあるが,新生児期に合併症を来す症例もある. 今回著者らは肝切除により治療した本症の2例を経験したので報告した. 症例1は生後1ヵ月の女児. 発熱および腹部腫瘤を主訴に来院し,入院後の精査で肝血管腫と診断された. 血管造影検査で動静脈短絡を認め肝右葉下面から突出した腫瘍で,肝右葉区域切除で摘出した. 症例2は生後6日の男児. 妊娠39週の出生前超音波検査と MRI 検査で後腹膜あるいは胃の奇形種が疑われたが,出生後の精査で肝左葉外側区域の肝血管腫と診断された. 腫瘍内への出血傾向と右心負荷がありステロイドと強心利尿剤を投与したが,腫瘍の増大傾向が続いたため肝左葉区域切除により腫瘍を摘出した. 病理組織診断は2例とも肝血管内皮腫であった.

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© 1997 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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