1997 年 33 巻 4 号 p. 740-746
我々は,新生児期に回腸切除を行った双生児を,その後の検索から cystic fibrosis と診断した. 2例の経過と診断に用いた汗の電解質検査に加え遺伝子解析の結果を報告する. 症例は生後2日の低出生体重の一卵性双生児 (男児) で,2例とも腹部膨満を主訴に外科紹介となった. 腹部 X 線写真にて第1子では異常拡張腸管を認め絞扼性イレウスを疑い,第2子では free air を認め消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した. 2例とも回腸部分切除を施行し,病理組織検査により原因として meconium ileus を疑った. 退院後,2例とも呼吸器症状を認めたため,2歳時に汗の電解質検査を施行した. その結果,Cl 濃度は高値 (60 mEq/l 以上) を示し,古味 score により cystic fibrosis と診断した. 両親の同意のもとに,2例の遺伝子解析を徳島大学第1外科に依頼した結果,ΔF508,G542X,G551D,R553X の変異は認めなかった.