日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
低出生体重児に発生した小腸閉鎖症2例の経験
大浜 和憲土田 敬俵矢 香苗矢崎 潮大和 太郎大澤 武堀田 成紀加藤 英治片山 啓太
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 33 巻 4 号 p. 758-764

詳細
抄録

先天性小腸閉鎖症のほとんどは胎生後期の血行障害によって引き起こされ,極低出生体重児にはまれである. 今回,私たちは小腸閉鎖症の極低出生体重児2例を経験した. 症例1は在胎26週,出生体重713g の男児. 腹部膨満と胎便排泄遅延のため生後7日メコニウム病を疑いガストログラフィン注腸を行い,消化管穿孔と診断された. 開腹手術で回腸の捻転による腸閉鎖および穿孔と診断した. 胎生中期,腸蠕動が活発になってまもなくメコニウム病によって腸捻転を起こし,腸閉鎖を生じたのであろう. 症例2は在胎29週,出生体重1410g の男児. 出生後より嘔吐があり,生後4日血便も認められた. その後腹部膨満が出現し,生後26日開腹手術を行った. 空腸に Louw III 型腸閉鎖が認められた. 出生後に腸重積を起こし腸閉鎖を生じたものと思われる. 低出生体重児に生じた腸閉鎖を検討することはより詳細な発生原因およびその時期を知る手掛かりとなる.

著者関連情報
© 1997 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top