18 trisomy に合併した多発性肝芽腫の1例を経験した. 症例は在胎40週4日,体重2,722g で出生した女児. 先天性心疾患,小脳低形成,慢性呼吸不全があり,生後5か月に心室中隔欠損症の根治手術を受けた. 術後経過観察中に肝芽腫を発見され,生後7か月に肝 S5,S6 の部分切除を行い腫瘍を全摘した. 血清 AFP 値は著減し,引続き小児科で加療されていた. 2歳4か月時の胸部単純撮影で生下時から左横隔膜下にあった腫瘤性陰影の増大により肝 S2 の肝芽腫を発見され,これを全摘した. 肝芽腫はいずれも肝外発育型で高分化型肝芽腫であったが,病理学的に後者においてより分化度が高く,また免疫組織学的に AFP は後者で陰性であり,前者の肝芽腫とは若干異なっていた. 本症例はいわゆる cancer-malformation syndrome に属するまれな腫瘍と考えられるので文献的考察を加えて報告する.