日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
超音波断層検査にて術前に診断しえた術後腸重積症の1例
黒坂 夏美浅部 浩史飯田 則利
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 33 巻 7 号 p. 1119-1123

詳細
抄録

空腸部分切除術後に発症した腸重積症を,超音波断層検査にて術前に診断しえた女児例を報告した.術後腸重積症はまれであるため,しばしば念頭におかれず単純性イレウスとして保存的に加療されることが多い.その結果本症の診断が遅れ腸切除が必要となることがある.それを回避するためには,術後腸重積症は迅速かつ確実に診断されなければならない.従来よりイレウスの画像診断は腹部単純 X 線写真が主に用いられているが,最近単純性イレウスと絞捉性イレウスとの鑑別に超音波断層検査の有用性が報告されるようになった.とりわけ術後腸重積症は特徴的な重積腸管の同心円状多重層構造 (target sign) から診断は容易である.術後にイレウス症状を呈した患者には,腹部単純 X 線写真に加え超音波検査をルーチンに施行することが有用である.

著者関連情報
© 1997 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top