日本小児外科学会雑誌
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新生児副腎膿瘍の 1 例
高見 裕子矢加部 茂
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2000 年 36 巻 2 号 p. 300-305

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抄録

新生児副腎膿瘍は, これまでに内外の文献上13例の症例報告を見るに過ぎないまれな疾患である.今回, 我々はこの一例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は診断時18生日の女児.吸引分娩にて出生.右Erb麻痺を認め, 分娩外傷の存在が示唆された.1生日より発熱を認め, 当院小児科に入院.4生日の腹部CTで右副腎出血を認めたが, 18生日再度施行したCT上, 同部に膿瘍の形成が疑われた.抗生剤全身投与による保存的治療を行うも, 症状改善や膿瘍縮小を認めず, 当科に転科し膿瘍ドレナージ術を施行した.術後は原因菌に感受性陽性な抗生剤の膿瘍腔洗浄も追加し, 症状軽快と画像上膿瘍腔の消退を認めた.新生児副腎膿瘍は保存的治療が有効でない場合, 積極的に膿瘍ドレナージ術が状態の早期改善につながると考えられた.

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