抄録
Penaが発表したtotal urogenital mobilizationは総排泄腔長が3.0cm以下の総排泄腔遺残症に対して施行される根治術で, 合併症が少なく, ほぼ正常に近い外観が得られると報告された.今回我々は総排泄腔遺残症の1例に対してtotal urogenital mobilizationを行い満足のいく結果を得たのでその手技を報告する.症例は9カ月女児.posterior sagittal approachにて総排泄腔後面に到達したあと, 総排泄腔より直腸を分離し膣と尿道を一体として受動せしめ会陰部に開口させ, 最後に肛門形成を行った.術後1年が経過して膣狭窄, 排尿障害などの合併症はなく, 外観的に正常に近い状態が得られている.total urogenital mobilizationは総排泄腔遺残症の患児に対して手術時間の短縮, 尿道膣瘻, 膣狭窄などの合併症の軽減が期待でき, 外尿道口と膣口が近接することからより正常に近い外観が得られる優れた手術法であると考えられた.