日本小児外科学会雑誌
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S 状結腸膜様閉鎖症の 1 例
吉田 篤史植村 貞繁村上 一郎寺本 典弘
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2001 年 37 巻 4 号 p. 745-748

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抄録

症例は生後3日目の男児である.在胎39週4日, 体重2180 g正常分娩にて出生した.生後2日目より腹部膨満・嘔吐を認め, 生後3日目には腹部膨満が著明となり当科に紹介された.腹部単純X線写真にて, 腹腔内全体に多量の腸管ガス像がみられ, 一部に拡張した腸管ループが認められたため, 生後3日目に下部消化管閉塞と診断し, 緊急開腹術を施行した.手術所見としては, 腹膜翻転部から約3 cm口側のS状結腸にLouw I型の閉鎖を認めた.閉鎖部前後の口径差が大きいため, 一期的に吻合することを断念し, 横行結腸に人工肛門を造設した.生後3カ月, 体重5310 gにて閉鎖部結腸切除, 結腸端々吻合術および人工肛門閉鎖術を施行した.術後経過は良好であった.閉鎖部結腸を長軸方向に切り病理標本を作成したところ, 狭い範囲に結腸粘膜で隔てられた多発性の膜様閉鎖を認めた.本症例の病理所見はTandlerの再開通障害説を示唆するものであった.

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