日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
日本の小児外科の将来への提言 : 私立医科大学・小児外科医から(<特集>日本の小児外科の将来への提言)
脇坂 宗親中田 幸之介北川 博昭佐藤 百合子佐藤 英章
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 38 巻 7 号 p. 1010-1014

詳細
抄録

【目的】一私立医科大学小児外科診療の現状と問題点を抽出し, その対策と将来有るべき姿を提言する.【問題点】1. 卒前教育に費やす労力の多さ.当院では6年一貫教育の基に, 実習重視の統合カリキュラムが導入された.それにより臨床医にも今までにない多くの教育業務が課せられている.2. 大学院を含む研究実施の困難性.医学部教員の実績は, たとえ外科医でも研究評価の主体は論文数が重視される.臨床業務の傍ら学会発表・論文作成に当たるが, それに割り当てられる時間は極めて少ない.3. 経済効率向上の困難性.現状では小児外科診療の経済効率は極めて低いとされ, 専門施設としての診療報酬, 専門医の収入はその資格に対し適切に反映されていない.【対策】私立大学においても教育, 臨床, 研究の分野別スタッフの確保と予算配分を行い, 人員増員・役割分担する.また大学院は, 臨床各科・部門を離れた系で学ぶ教育制度を作る.社会全体に今以上に小児医療の必要性, 診療技術の困難さを認識させることが必須で, 更なる診療報酬の引き上げを実現させる.人材獲得には, 研修医・若手医師の経済的保証を明確にし, 他施設との格差をなくする.認定医・専門医を取得したものには, 他地域・他施設との連携も可能な仕組みとし将来の保証をする.小児外科はどの時代・地域においても必要とされ, 奉仕的職業としても魅力有ることを呈示し, 人材獲得にあたる.【まとめ】私立医科大学に於いて小児外科などの特殊外科を一生の仕事とするには, いくつかの問題点がある.しかし, それに見合う魅力があることを広報し, 報酬の保証, 将来のポジションを確保することにより小児外科医を育成しなければならない.

著者関連情報
© 2002 特定非営利活動法人 日本小児外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top